遠くから聞こえる車の音
街の明かりは遠く
風景にタイトルを付けて写真家を気取って
構えたカメラのシャッターは遂に押されず
さっきから足元に開いている穴を見下ろしている
小さな冷蔵庫ほどの大きさの穴
穴がどれだけ深いかを確かめるため
ペンライトで地面を照らしてみる
そこにいた一匹の烏と目が合う
生きてはいるようだがその場を動かない
そいつは浅い穴の底に佇み
誰もが知っている有名な炭酸飲料の
真っ赤な空き缶を嘴に銜えて
私をただ真っ直ぐ睨みつけていた
ふと気づくと烏もいないし穴も無い
ペンライトは枯れ草を照らしているだけだった
強い風が吹いて河川敷が騒めいた
膝を抱えて水の音を聴いている
街の明かりはあまりにも遠い
対岸で走るジョガーをぼんやりと眺めていた