2020年2月20日木曜日

旅行の手引き

 高橋知秋のお話は「手紙が届いた。差出人の名前はない」で始まり「暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた」で終わります。
 #こんなお話いかがですか #shindanmaker
 https://shindanmaker.com/804548 
 (https://twitter.com/Virtual_chiaki/status/1230479564893147140)

 手紙が届いた。差出人の名前はない。差出人の名前が書かれているはずのところには何も書いていない。何かが書いてあるようには見えない。ここには何も書いていないと書かれている。書かれていないということを書いているが故に書かれているか書かれていないかが分からない。書かれているか書かれていないかが分からないと書いてある。書いていない。私はいま文字を書いている。何も書かれていない。何も書かれていないと書かれている。書かれている。書いていない。書いている。私はいま文字を書いている。私はいま文字を書いていて手紙に差出人の名前が書かれていないということを書いている。書かれていない。書いているが書かれていない。書かれていないことを書いている。そこに感情はない。感情はある。私の中に感情はあるがそれを今書いている文字の中に込めてはいない。感情はあるがここには感情はない。差出人の名前はない。名前は無いが故に感情もない。しかし感情はある。感情はあるがこの文章の中には感情を込めていないということを書いている。感情はある。ここには感情はない。私の手元には手紙は届いていない。しかし手紙が届いたという内容の文章を書いている。手紙が届いたという内容の文章を書いているということを書いている。手紙には差出人の名前はない。名前は書かれていない。名前が書かれていないということを書いている。何も書かれていない。何も書かれていないのだから何も読めずそこに感情はない。私の中には感情はあるが何も書かれていないものを見たときに沸く感情はない。そして私には感情はあるがこの文章の中に感情があるかどうかが分からない。分からないことがある。分からないことがあるという内容の理解できる文章を書いている。分からないことはあるということが書かれた文章がありそれを読んで理解することが出来る。理解することが出来る。理解することも出来るし感じることも出来る。何も書かれていないものを見ても何も思わないが何も書かれていないということを理解することも出来る。人がいる。人がいるという内容の文章を書いている。人がいるという内容の文章が書かれたことによって文章の中に第三者が登場する。第三者が登場することで私と貴方という概念が文章の中に登場する。貴方という概念を登場させることによって関係性を表現できる。関係性はない。関係性はないが関係性があるという内容の文章を書いている。関係性があるという内容の文章を書くことによってこの小説に関係性を作り出すことが出来る。こうして少しずつ概念を文章中に登場させることによって小説を終わらせることが出来る。この小説は「暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた」という言葉を最後に書くことによって終わらせることが出来る。この文章を終わらせることが出来るという内容の文章を書いている。言葉という文字を書いている。言葉という概念は文字である場合もあり文字ではない場合もあるが言葉という言葉は文字であらわすことが出来る。言葉という概念についての文章を書いている。書いているということを書いた。書くことは書いた瞬間に過去になるので書いているという表現は厳密には間違っている。書くことについて書いている。書くことについて書いているという文章を書いた。書いているということを書いた。私はこの小説を終わらせることを考えている。いま初めてこの文章を書いている間に私が「本当に思ったこと」について書いた。「暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた」という言葉を書いて終わらせたいと私は考えている。私は考えたことを書いている。考えたことを書いていることについて書いた。私はこの小説を終わらせたいと考えているということを私は小説の中に書いている。書いていると書いた。私はこの小説を終わらせるために文章を書く。この小説を終わらせるという文章を小説の中に書いている。書いていると書いた。暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた。

2020年2月11日火曜日

『高橋知秋の15分』覚書

 カセットテープに録音がしたいな、という思い付きで突発的に製作。
 製作方法が製作方法なので作り込むことが出来ず、そのため録音直前にその場で出来た思い付きを、ただ瞬発的に2~3分間録音しただけのよく分からない内容に仕上がっている。
 ラジカセにラインでそのまま録音したので録り直しができない、しかも外部入力端子はあるのにイヤホンジャックがないという珍妙なラジカセなのでスピーカー(このスピーカーの音がまた悪いんだ)の音を頼りに録るという環境で製作。そのためPCに音源を入れてみたら各曲の音量が無茶苦茶だったので笑ってしまった。
 PCに音源を入れたのちにかなり適当な音量調整を行った結果、曲毎にヒスノイズが大きくなったり小さくなったりしていて統一性がない音作りになっているが、音源はどれも同じ一本のカセットの中に納まっていたものである。

 タイトルはピチカート・ファイヴの諸作からの影響があったが、それ以上の意味はない。
 「side A」と「side B」の二つに分けていることも別に何かコンセプチュアルな意図があったわけではなく、単純に30分カセットのA面とB面に収録された内容を、配信の際に二枚に分けただけである。こうした部分にはあまり大きな意味を付けたくない。
 ちなみにカセットテープという製品の仕様上、実際の収録内容は両サイドとも15分半ほどになっている。


[side A]



 実はこちらは最初に録音した内容があまり良くなくて、後半2曲だけ丸ごと別の曲にして録音し直している。最初は「イヤホン端子を触って出したノイズをそのまま録音した曲」と「PCでgoogle翻訳に英語でランダムな数字を読み上げさせたさまを録音しながら、ラジカセの回転数を狂わせて音の揺らぎの効果を狙った曲」が入っていたけどうまくいかず…。

1. 予定変更
 タイトルは録音したら最初に思い描いていたアイデアとは違う仕上がりになったのでこれに。そのタイトル通り、録音に向かう過程で色々変えていったので細かいことはあまり良く覚えていない。終盤で『Soundtrack For Shibuya City』で多用したカセットの録音速度を無理やり狂わせる手法をちょっと使ってる。

2. 思維培訓 (Live Arrange)
 『虚拟时代』収録曲の新バージョン。と言っても特に何かが変わっているわけではない。「ライブでこの曲を演奏したらこんな感じかなー」というイメージで録音した。タイトルの「Live Arrange」はちょっとした洒落というか、遊びというか、なんというか。

3. Sentence
 ものすごく雑なアシッド系。一筆書き感がある。

4. Passage Of The Seasons
 今作で一番手をかけた作品かもしれない。とは言えそれは「ボタンを押す回数が他よりも数回多かった」みたいなレベルだが。うっすら入っているキックの音はミスで消し忘れたものだけれど、結果的にかなり重要な存在になったと思う。『Condition Music』と『Mind Seeker EP』の中間のような質感。音量が小さいためヒスノイズが大きいが、そこも含めて個人的に気に入っている。

5. 単純計算
 ここから先は録音し直した曲。これはひとことで言ってしまうと、録音した時のことをよく覚えていない。「計算」をテーマにしようとしたことだけは辛うじて覚えていたので、タイトルもそのまま「単純計算」に。今まで高橋知秋として作った曲の中で高音域がここまで刺さる曲はあまりなかった気がする。

6. Cymbal Practice
 時間が余ったので製作した曲。なんだこれは。一回だけタムの音が入るのが何というか我ながら間抜け。しかも単なる押し間違いという。



[side B]



 三回ほどに分けて録音。

1. recover system sounds
 タイトルはtwitterにてElselさんが私にかけてきた言葉に対して、私が全てバグったような言葉で返すという行為をしていた時にふいに出てきた言葉。なんとなく印象に残っていたので、文法を直してそのままタイトルに採用した。実はうっすらと構成の元ネタにしている曲がある…はずだったんだけど、そちらを改めて聴き返してみたら全くの別物だった。

2. Melt As Snow
 これはプリセットの音色を適当に弾いているだけ。そもそも私の曲は気に入った音をただひたすら鳴らしているものが多いけど、これはその極限状態、といった感じがする。この曲は本当に音量が小さかった。なのでヒスノイズがすごく大きい。カセットに録音するという行為によって実際に鳴らした音よりも多くの要素が入った感じがある。

3. 状況説明
 ここから別日の録音。この日、プライベートで精神的にダメージを追う出来事があったため、そのストレスをこの約2分半に全部ぶつけた。コンセプト面でも楽曲面でも完全に『Condition Music』と同じ手法で製作している曲。なのでタイトルもストレートな言葉にした。そんな感情的な曲の割には背景で鳴っている音をチラ見せさせる構成があったりするのが、私の性格をよく表している…気がする。

4. Rhythm Not Rhythm
 これも「状況説明」と同日に録音。なんというか、この2曲はフラストレーションが溜まっている状況じゃないと出てこないアイデア。ループしているメロディっぽい音も改めて冷静に聴いてみると凄く気持ち悪いし…もはや他人事のように「本当にイライラしていたんだな…」と思う。キックの音で全体が歪む感じをもっと出したかったけど、それは次回の課題ということで。

5. Clear Flow
 ここからさらに別日の録音。これは背景でずっと流れている音を聴かせたい…というか、私自身が聴きたくて作った曲。それにしても改めて聴くと何ちゅう構成なんだ。一時期「BGMの壊れ方が面白い」という理由でニコニコ動画でゲームを故意にバグらせた映像をよく見ていたんだけど、その経験の影響が結構あるんじゃないだろうか。

6. 環状接続
 実は前曲「Clear Flow」で使った音を使い回している(リズムと一緒にぽこぽこ鳴っている音)。なのでタイトルに「接続」という語を用いた。ガンガン鳴ってる音はいろいろやってたらこの音が鳴って面白いなと思ったのでそれをそのまま。これはどういう曲なんだ。

7. 高橋知秋の8秒
 最後の曲。よしラストトラック作るぞ!と思って再生ボタンを押したらあっという間にテープが終わったのでびっくりした。そこで開き直ってめっちゃ短い曲を作ろう、と思い製作。タイトルの「8秒」の部分はPCに音源を入れてから再生時間を確認して付けた。縁起のいい数字。

Soundtrack For Shibuya City


Pt.1
Pt.2

Dec. 19 2019

bandcamp [Free DL]
Soundcloud [Streaming]