三月になって
君は遠くに出かけたくなる
行きたいところを定めないままで
あの軽薄な白い自動車に乗って
普段は乗らない東名高速を走って
海に行きたいなどと考え始める
意味も与えられずに放置されている
本当はどうでもいい数々の記憶に
想い出というラベルを付けて
無駄に大切そうに抱え込んでいる
それも雪が解けて川に流れて
あの桜のつぼみが開くころには
すっかり忘れてしまっているだろう
三月になって
私は近所のパン屋さんで
急にサンドイッチを買ってみようかと思う
本当に買うかはまだわからない
まだわからないけど